「あ、まんじゅう悪魔おじさん……あさはかってなによ」

「ファルゴンだって言ってるじゃろぉ! お前には見えないだけじゃ」

「なによぉ! 悪魔には何が見えてるの!?」

「ふふ。まだ僕にも見えてはいないんだがね?」

「?(今の悪魔王子は人間だから?)」

「それでは今日第一回目の魔法を……」

 麻那人の手から光る魔法陣が現れ、そこから出た光が赤いレンガの壁にビームのように当たる。

「わ! これが魔法……!?」

「さっすが我らが魔法王子! 詠唱なしでカックイイ!」

「あはは、ファルゴン。褒めても僕と一緒にいるかぎりボーナスは出ないよ?」

「そんな事は百も承知のスケですじゃあ」

 二人のよくわからない話を聞きながら、光の先を見つめていると……。
 壁にお店の姿が見えだした。

「え……お店!?」

 古めかしいお店。
 
「(これは……見たことがある……絵本で、見た!!)」

 看板にせり出した赤い屋根。
 引き戸のガラス戸。店の中には沢山のお菓子が並んでいるのが見える。