一度家に帰って、ランドセルを置いた二人。
 お父さんはお出かけ中のようだ。
 猫のクロをなでなでする。

「クロ~僕達はまた出かけてくるよ」

 『やだぁさびしい~』ってクロが言ったような気がしてドキッとする。
 今日は悪魔王子がいるので、自転車はやめた。

 リュックを背負って、歩いて行こうと準備した。
 二人でまた、裏山へ行く道を歩く。

「ねぇ光。お菓子買っていこうよ」

「いいね~。うん、じゃあコンビニ寄って行こうか」

「コンビニも今度行ってみたいけど、いいお店を見つけたよ。駄菓子屋」

「え? (そんなお店あったかな?)」

 悪魔王子は、ふいに足をとめる。
 歩いている大きな道路は、通学路。

 車はそんなに多くない。
 家の並んだ道、住宅街だ。

「あ……そこは、行き止まりの道だよ」

 麻那人が入っていったのは、狭い道。
 実はT字路の行き止まりだ。
 
 よく、間違えた人が戻ってくるのを見かける。

 行き止まりにあるのは、何故か赤いレンガの積まれた壁。
 ボロボロで、すごく古くて気味が悪い。
 その脇にある家二軒も、もう古い空き家だ。

「そんなとこ、なんにもないよぉ」

「ハッハッハ。これだから人間は……! あさはかで、あ~~る」

 まんじゅう悪魔おじさんが、光の頭の上でバカにしたように笑った。