「またあとでな! 光!」

 元気にランドセルを背負って行ってしまう空太。

「えっえっ!?」

「私は掃除だから、少し遅くなるかもしれない……」

 ルルがひかえめに、ちょっとオドオドして言った。

「んじゃあ~あとで私と、一緒に行こう! ルル」

「うん……ありがと。リィちゃん。じゃあね光ちゃん」

「えっえっ!? ええええええ!? ちょまっえ!?」
 
 みんなランドセルと体育着袋を持って一気に解散! という感じで散らばっていった。

「うそぉ……」

 とり残されて、ボーゼンとする光。
 
「良かったね☆」

 麻那人がウインクしてきた。

「よ、良かった!? の!?」

「二人より、いい~んじゃない? かなりね☆」

「(悪魔王子と二人……よりは良い? そういうもの? でも良い? ああああ。わかんない!)」

 光が頭をブンブン振ると、長いポニーテールもブンブン揺れた。
 
「ねぇ。う、裏山って危なくない!? 昨日の今日だよ!」

「まぁ大丈夫さ。僕も一緒だしね。楽しみだなぁ~」

「お、追いかけ鬼は……まだ、あそこにいるかな?」

「わからないよ~あは、ねぇお菓子持って行こうよ」

「あ、あんたって食べ物ばっかり!」

「じゃあ、光はお菓子いらないの?」

 何故かそんな時だけ、真顔でジッと見てくる麻那人。

「い、いるけど!」

「でしょ?」

 悪魔のくせに、後ろからピッカーっと光が指すような笑顔だ。

「(いっつもこのスマイル! なんか、ズルい!)」
 
 とりあえず、二人は一度家に帰ってから裏庭に向かうことにした。