「えーーーーーっ」

「なに、その変な顔」
 
「べ、べつにぃ」

 なんでもニコニコして、自分のマネをする!
 うれしいような、嫌なような、恥ずかしいような変な気分。

「(いや、うれしくないよ!!)」

 ごまかしたくて、プン! と光は天井を見上げる。

「ほう……あれは」

「え?」

 悪魔王子が小さく囁いたので、光も何事かと暗い廊下の先を見る。

 スススス……と何か日本人形の影のようなものが廊下を歩いて消えていった。

「ひぃ!?」

「此処の街は本当に面白いね。学校も最高だ」

 学校で噂になっている、資料室の日本人形じゃなかった!? と光は思うが麻那人はいつもどおりニッコリだ。
 ゾゾゾっと光は背筋に寒いものが走る。

「今日の給食はカレーなんだってね。すっごく楽しみだよ」

「ああああんたは食べることしか興味ないのぉおおおおおお!?」

「観光といえば、まずはグルメでしょ☆」

 その日の給食のメニューはカレー。
 カレーは麻那人のお気に入りになったのであった。