「答えは、A君のおしりだよ」
となりの空太に言われて、光はありがとう! と思った。
「答えは! A君のおしりです!」
「え? なんだって? もう一回!」
小林先生の再確認。
「答えはA君の、おしりです!!」
「ぶふーーーーーー!!!」
「えっ!?」
となりの空太は笑い出し、クラスが笑いにつつまれた。
「算数の時間に、そんな問題を出すわけないだろう!」
担任の先生のツッコミで、更に教室は笑いにつつまれる。
「光サイコー!!」
先生は授業の話をしっかり聞きなさい! と言った。
みんなが光の明るさを知っているので、光も笑ってみんなも笑って、算数の授業は終わった。
「空太~! 許さない!」
「はは! 授業中にコンパスで遊ぶなよ~」
空太が教室内をシュバババ! と逃げていく。
その後ろを追いかける光を見て、またみんなが笑った。
「追いかけ鬼だ! 光が追いかけ鬼になってるぞ~!」
『追いかけ鬼』という言葉に耳をふさぐ子がいたり、キャーと叫ぶ子もいたり……。
最近、町の中でうわさになっている……恐ろしい化け物。
それが『追いかけ鬼』だ。
追いかけ鬼は顔だけの鬼。
一人ぼっちの子どもを見つけると、追いかけてくる。
そして子どもを食べる、恐ろしい鬼だ。
『追いかけられたら最後だよ♪
逃げて走ってどこまでも♪
追いつかれたら食べられる♪
骨も残さず食べられる♪
追いかけ鬼に見つかれば♪
最後死ぬまで追いかけらーれる♪』
これが今、流行の妖怪歌だ。
◇◇◇
そして放課後。
掃除当番の光は教室で掃き掃除をしながら、ノートに書いた円を思い出していた。
「(あの魔法陣で、今日こそ……! むふふ)」
そんな光の前に来た三人の少女達。
「ねぇ、光! あたし達もう魔術クラブやめるから!」
突然そう言われたのだった。