「はぁ! はぁ! たっただいまっっはぁ」
 
 安全運転の範囲で、自転車をぶっ飛ばして急いで帰ってきた光。

「どこ行ってたんだ~? 心配したよ」

 台所から、お父さんの声が聞こえる。
 良い香りが玄関までするので、料理中だろう。
 
「(家に入る前に、何度も振り返ったけど誰もいなかった。き、きっと大丈夫!)」

 玄関にヘルメットを置いて、うがいと手洗いを念入にする。
 そして温かいホッとする、リビングに入った。

「あぁ、お父さんのオムライス! いい匂い~!」

 お父さん特製の、卵がトロットロのオムライス。
 バター香るケチャップライスには、鶏肉がたっぷり!
 隠し味にトリュフっていう高級なキノコ風味のお塩を使っていて、レストランにも負けない味だ!

「おかえり! お先に頂いてたよ~」

「え!?」
 
 聞き覚えのある、男の子の声。
 でも、空太ではない!
 なんと、そこにはニコニコとテーブルに座ってオムライスを食べる悪魔王子!?

「う~~ん、うまぁ~~い」

 大きなスプーンで口いっぱいに頬張る悪魔王子。
 悪魔王子!
 悪魔王子!!