悪魔王子の軽い笑いと同じように光も笑いながら言う。

「そんなことできるわけないだろう!」

 しかし、まんじゅう悪魔おじさんは怒り出した。

「え……取り消しできないの?」

「まぁそりゃあね……召喚魔法陣の契約だからね~」

 悪魔王子はニコニコしたままヒドイ事を言う。

「うそ……うそぉ……どうしよう……」

 冷たい土の上に座ったまま、光はうなだれる。
 さっきまで、あんなに怖い目にあったのに……。
 更にとんでもない、問題が……。

「鬼に襲われて、今度は悪魔……」

「どっちにしても君の命はもうないよ」

「えっ!?」

「あの鬼はまだ動く、消滅していないだろ?」

「えっうそ……」

 確かに悪魔王子が蹴り飛ばした鬼はピクリと動かないが、まだそこにいる。

「君を食べるまで、永久に追いかけてくる」

 恐怖の言葉に、光の顔から血の気が引いた。

「どっどうしたらいいの!?」

「ふぅん……僕にはどうにかする義理もないしなー」

「ひどいっ! この悪魔!」

「うん、だから僕、悪魔」

 やっぱり、にっこり笑う悪魔王子。

「もう、もうやだあああああ!!」

 光は叫ぶ。

「(とりあえず鬼も悪魔ももう嫌だ! 逃げよう!)」

 光は必死でその場から、逃げ出したのだった。