「妖精の召喚魔法をしたつもりだったってこと?」

 悪魔王子が言う。
 ぴゅーっと冷たい風が二人の間に吹いた。

「そ、そう……可愛い素敵でかっこいい……妖精様……魔術クラブのみんなで……」

 いつも魔術クラブのみんなで妄想していた妖精の女の子とか……妖精王……。
 金髪で耳の長い綺麗な……妖精。

「子どもよ、お前が使った魔法陣は下位悪魔の召喚魔法だ」

「かい……? アサリの悪魔? シジミの悪魔?」

「アサリはスパゲッティがいいの。シジミは味噌汁……って違うわーーー! 下っ端の悪魔の事じゃ! ちなみに悪魔王子様は超超超超上級悪魔。あんな魔法陣では呼び出すことなど到底不可能のお前の雲の上の上の上の存在の御方なのじゃ!」

「じゃ……じゃあどうして……」

「なんかちょっと魔界に飽きちゃってさ。そんな時にさっきの召喚のゲートを見かけたからね」

 アハハ! と軽く悪魔王子は笑う。

「飽きて……」

「うん。人間界に興味あるから、ちょっと君のところでお世話になろうかな~って思ったんだよね」

「お、お世話!? 無理無理!」