「控えおろう~~! 人間の子どもっ! この御方をだれだと思ってる!!」 

「ひゃ!?」

 男の子の頭の上から、大きなまんじゅうか、がんもどきか、というような丸い物体が降りてきた。
 大きさはバスケットボールくらい。

「ぎゃ!? まんじゅうがしゃべった!?」

「誰が、まんじゅうじゃい!」

 まんじゅうには目があって口があって、ひげまで生えて、悪魔の羽をパタパタさせて宙を浮いてる。
 声と喋り方は、めちゃくちゃオジサンだ!

「が、がんもどき!?」

「ちがーう!」

「じゃあ、つくねだんご!」

「タレが好き! って違うわ! ばっかもーんがぁ!」

「わわ、ごめんなさい!」

 光が謝ると、あっはっはと男の子の笑い声が響く。

「あはは! 随分、面白い子だなぁ。初対面からやられたなファルゴン」

「王子~~!」

 まんじゅうオジサンの言葉を聞いて、光は驚く。

「……お、おうじ?」

 男の子はニヤッと笑った。

「(そうだ、この姿は王子様の格好だ!?)」

 驚きながら、また男の子の姿を上から下まで見る光。
 
「僕の名はマーナット・ハロンヘッド・デスピッド・アノーレウ三世。人間の子どもよ、僕は魔界の王の息子。悪魔王子である!」

 森のなかに響く、男の子の声!

 悪魔王子! 悪魔王子! 悪魔王子ーーーーーーーー!!

 悪魔王子!?