「そ、そうだ! 神社のなかに!」

 神社なら鬼は入ってこられないんじゃ! そう思い光は涙をこらえて走る。

『ぶるぶぶぶじゅああああ! こどものにくぐううう!』 

 少し開けた神社の場所。
 小さな外灯が照らしている。
 光の自転車だけがポツンとあった。
 もう誰もいない。

「あ、開かない!」

 最後の希望だと思っていた、小さなお(やしろ)は鍵がかかってる!

「だ、だめだ……もう無理……ぃ」

 追いかけ鬼の気配を感じて、助けを求めるように小さな鳥居に光はしがみついた。

「(頭から喰われて死んでしまうんだ! こんな、こんなことって……!)やだぁあああああ!! お母さんっ! お父さぁああああん!!」

『いだだぐまがぁあああっっすす!!』

 いただきますと言った。
 巨大な顔がばっぐりと大口を開けて、そのまま光を飲み込もうと、した。
 
「いやあああああ!」
 
 満月が輝き、光の悲鳴が響く。
 一斉に木々が風に吹かれ揺れた。