〘來奈(らいな)side〙

朝日が差し込む狭い私の部屋。
妹の鳳璃(ふうり)と共同部屋だけど鳳璃の姿はどこにも見当たらない。
「またママの部屋で寝たのかな…」
ベットから重い体を起こしてリビングへ向かう。
「來奈おはよ。今日から高校生だね」
ママの言葉で今日が高校の入学式ということに気づく。
「JKって言えるから、ラッキー」
気づいた瞬間からニヤけが止まらなくなる私。
「あんたが高校落ちてなかったらひとりで行かせるつもりだったのに遠い高校選びやがって」
私の頭をチョップで殴ってくるママに苦笑いをしてイスに座る。
私は家から近い高校に通うはずだったのに、定員オーバーで落ちたから車で30分の高校に通うことになった。
落ちた時はどうしようかと思ったけど、高校生になれるから結果オーライなのに、これは一生家族にイジられんだろうな。
私がこれから通う高校には、私と同じ中学の生徒が少ないから、1番最初から友達探しをしないとひとりぼっちになっちゃう。
そんな不安を抱えながらも机に出てきた朝食を口いっぱいに頬張る。
「おはよう」
ママの部屋から目を擦って出てくる鳳璃。
鳳璃は今日から中学二年生…だけどそれにしては少し幼い。理由は、幼児体型で、茶髪のくせっ毛、身長も138センチで小さいから。でも何故か性格はサバサバしていて男友達も多く、私とは正反対。
私は151センチの身長で黒髪ストレートでロング。性格は人前に立つことが苦手で男子とも話さない、いわゆる陰キャと陽キャの違い。
朝食を食べ終わって自分の部屋に向かってまだ慣れない制服に着替えて、姿見鏡の前に立つ。
「うーん、やっぱり似合わないかな」
灰色ブレザーに青いワイシャツ、赤いネクタイに灰色チェックのスカート。一般的に見て可愛い制服だとは思うけど、私にはやっぱり似合わない。
「ねー、ママ見て」
そう言ってリビングに行くと私のお姉ちゃんである衣吹(いぶき)が起きてきていた。