そしてそのまま授業が始まった。俺は必死で先生の言っていることをメモで取る。その一方雅子は暇そうにする。一人だけ勉強しなくていいの少しだけムカつく。

 まあそれも仕方ないだろう。ムカつくけど。彼女はノートをとるための手がないのだ。実際、雅子がノートを取ろうとしても手で鉛筆を取れないのだ。

「ねえ光、数学のこの問題の答えたぶん違うよ」

 雅子が光に言う。ノートに、「違うのか?」 と、書く。

「うん、たぶんどっかで計算ミスしてる。たぶん、ここ」

 雅子が指さす。そこには七✖️十三=八十九と書いてあった。凡ミスだろう。

「ありがとう」

 そう、俺はノートに書いて感謝を伝える。凡ミスを指摘してくれるほど嬉しい事はない。誰だってミスはするのだ。

「それでね、最近犯罪多いのやばいよね」

 俺はノートに「今授業中だから話しかけないで」と書いた。授業にに集中したい。

「えーいいじゃん、私暇なんだよ。いいじゃん話そうよ」

「先生の話を聞いたら面白いと思うぞ」とノートに書く。

「私、勉強しても意味ないし」

「悲しいこと言うなよ」とノートに書く。