正直に告げた後、はっと口元を覆うも遅い。

「あぁ、なるほどーーうん、月見里先生にサポートして貰うのは良い案ですね!」

 理事長はすぐさま頷いて同意を示す。つまり、業務命令が下されるとみていいだろう。
 苦々しく壬生先生を伺えば、彼は意外にも真顔で頬を掻く。

「でも強制というのはーーあまり」

 嫌々手伝われても困るという意味を含ませる。まぁ、確かにそれはそう。けれどそんな熱量で何度もお願いしてきたのであれば少々不快だ、別に私でなきゃいけない理由がないじゃないか。

 ぐーっと眉が寄り、自分の表情が険しくなるのが分かった。
 そして、理事長そんな内心を見逃すはずない。

「外部指導者については早急に策を講じます。その間、月見里先生にお力添え頂ければと。いかがでしょう?」

 いかがも何も決定権は理事長にあり、私は異論を唱えないでおく。もう余分な事を言わないようにした。ただし快諾もしない。

「期間限定でのサポートですよ」

「え、あ、はい、本当にいいんですか?」

「理事長直々の業務命令ですし」

「あの、月見里先生と理事長はーー」

 ここで睨みをきかす。それに答える気はないから。

「では、さっそく本日からサポートをお願いしますね」

 理事長は話をまとめ、にっこり微笑む。

「じゃあ放課後、体育館で待ってます」

 色々と飲み込めないまま壬生先生は頭を下げるのだった。