「一緒に寝たいのになー」
「無理。あたし寝るときは抱き枕が必須な人だから。外では寝ないようにしてるの」
嘘だけど。あまりにも悔しいから言ってみた。さすがに抱きつかれながら寝るのは気まずいはずだ。いくら鈍感な玲哉でも。ってか気まずいと思ってよ。
「あ、そうなの。じゃあ、俺を抱き枕にすれば?」
「……は?」
「別にいいよ。気にしないから」
「な、何それ」
気にしろよ!って自分の耳を疑う。気にしないって何じゃそりゃ。ショックを通り越して呆れるわ。
そんなことを軽々しく言えるってことは、もしかしてあたし、女と認識されてない?それとも玲哉って女の子に興味がない人だったりする?
じゃなきゃ『抱き枕にすれば?』なんて軽々しく言わない。ましてや、気にしないなんてあり得ない。
絶望的だ。ガッカリするあたしに玲哉は全く気付かずキョトンとしている。その顔を見ていたら悲しいような腹立たしいような、切ないような苛立たしいような、複雑な気持ちになった。
いいや。もう。そこまで言うならいっそ勝負に出てやる。革命だ、革命。覚悟しなさいよね。玲哉。