それもこれも全部、玲哉が子供っぽ過ぎる所為だ。遊んでそう、軽そう、女好き、クラスの皆は玲哉を見てそう呼ぶ。しかし、それは外面だけ。中身はまるで子供。
 

 本当に手強い。手強すぎる。いつも一緒に居るあたしが苦戦するくらいだ。


 山へ行けば走り回るわ、海へ行けば制服のまま飛び込むわ、学校へ来れば蝉を持って追っ掛けて来るわ、行動が少年のまま。


 ファッション雑誌よりも少年漫画。好きな食べ物はプリン。お気に入りの毛布がないと寝られない。恋愛の“れ”の字も知らないんじゃないの?ってくらい鈍感。


 そのくせ、見た目は色気ありまくりの遊んでそうな男に見えるから困る。行動と視覚のギャップが強すぎて頭が追い付かない。


 今だってそう。伏せた目や仕草がやたらと色気があってドキドキする。ただ意識してるのはあたしだけ。あたし、たった1人。


 「あー、眠た。大富豪も飽きたね」


 ゆるっと笑いながら玲哉はトランプを置いて畳の上にゴロンと寝転がる。そんな玲哉をチラ見しながら、あたしはトランプを片付けた。


 腕を枕にして天井を見上げる玲哉は、あたしに対する警戒心なんてまるでない。無防備そのもの。


 シャツが捲れた所為でお腹が見えているのに全く気にしていない。それを見たあたしは“うわあああ!腹筋が割れてる……っ!”なんて内心ドキドキしているのに。