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 20歳の時。

 家のリビングでクッキーを食べながらテレビを見ていたら、昭太に「一緒に暮らそう」と言われた。


 純粋に嬉しかった。同棲しようと誘われて。


 でも、あたしはこの年になっても素直に頷けなくて。


 「えー。一緒に?やだよ」

 また断った。


 でも、昭太はそんなあたしの気持ちを見透かしていたのか、あっさりとは引かなくて。


 「じゃあ、31ゲームで勝負な! じゃあ、俺から『1』」


 わりと強引に勝負を仕掛けてきた。


 『このゲーム、1番最初に1を言えば絶対に負けないんだって~』と、どこかから仕入れてきた勝利方法を自信満々に話す昭太。


 そんな昭太が愛しくて堪らなくて。


 「もう!わかった。一緒に住むから」


 その日、あたしは初めて素直に頷いた。