ショックでモヤモヤする。

 あたしは真兄のこと、ずっと男の人だと思って意識してきたのに。


 何かすっごい悔しい。


 「やだっ、やめて、真兄……」


 最大限に出せる色っぽい声を出しながら、あたしは真兄を上目使いで見上げた。


 “これであたしのことを少しは女として意識するがいい”

 そう思った。


 真兄は技をかけるのを止めて、あたしを黙って見つめてくる。

 真剣な顔であたしを見つめる真兄にドキっと胸が高鳴った。

 しかし。


 「変な声出してんじゃねーっ!!」
 「痛っ、わああ!ちょっと……ギブ!ギブ……だってばっ!」



 あたしの企みは見事に砕かれ、真兄に渾身の四の字固めをくらう。

 ギリギリ締め付けられて骨が軋んでいる気がする。
 かなり痛いし!!



 「先生……っ!ヤメてくださいっ」
 「だから、先生って呼ぶな!」



 真兄は、あたしをギリギリと締め付けながら睨んでくる。

 いくら何でも扱いが酷すぎ。

 本気でムカついてきた。