「俺、夏休みは野球……」
 「ね?優太。お祭りくらいは行くよね?」
 「あ、あぁ……。行こうぜ」


 断ったら呪ってやるかんね!って勢いで和美にガン見された優太は苦笑い気味に頷いた。

 何だか……もう思わずって感じ。和美の眼力怖っ。


 「あの、優太。 無理しなくていいからね? 野球部って甲子園に向けて色々大変らしいじゃん?」


 高校球児にとって夏の甲子園は夢と希望の大イベントって言うし。練習やら予選やらで忙しいはず。

 あたし達の通う高校は甲子園の常連校じゃないけど、出場を目指して頑張っている。それをあたしのワガママで……。


 「練習が終わった後なら大丈夫だから。行こうぜ、祭」

 しかし、ドコまでも優しい優太はあたしにそう言ってニカっと笑う。


 優太、優しすぎっ。なんかもう胸キュンだよ。


 「や~ん!優太っ。 大好き!」


 嬉しくてしょうがなくなったあたしは優太の腕に思いっきり抱きついた。

 本当に良い友達だ。和美も優太も。