「ちょっと~、梨花? あたしはあんたのことを思いやって言ってんだからね?」
 「分かってるけど……」
 「あたしはもう、あの必殺遊び人にあんたが泣かされるのは見たくないの~」
 「うっ……」
 「うっ。じゃないし~。 次は何が理由で泣いてたの? ついにキス現場でも目撃した~?」


 和美はそんなあたしを見て、呆れたと言わんばかりに深く溜め息を吐いた。

 オマケに平然とした顔で不吉なことを言われて背筋が凍る。

 ヤメて欲しい。そんなの絶対見たくない。


 「み、見るわけないでしょ!」
 「じゃあ、何?」
 「 ただ、夏のイベントごとは全部パスって言われただけ」


 そしてその後、目の前でイチャイチャされただけ……。


 「はぁ~? 何それ~? そんなことで泣いてたわけ?」
 「うん」
 「バカだぁ。そんなのあたし達と一緒に行けばいいじゃん。 ね? 優太」

 そう言って和美は笑顔を弾けさせ、優太の肩をポンと叩く。