「目ぇ真っ赤じゃん。大丈夫か?」

 和美の騒ぐ声を聞いた友達の佐田優太(さだゆうた)もあたしの顔を覗き込んできた。


 和美と同様、高校に入ってから出来たあたしの友達だ。

 優太は野球部で黒髪の短髪。顔は……まぁ、普通?
体は野球少年って感じでガッチリしていて逞しいけど。



 「ちょっと聞いてるー? さっさと別れて新しい男作りなって。 ほら、早く。 思いたったら即行動!」


 ボケっと優太を見つめていたら和美に叫ばれた上に頭を叩かれた。


 「痛ーい!和美ったら酷ーい!」


 叩かれた頭を擦りながら和美を睨む。

 そしたら鼻で笑われた。


 「酷いのはあんたの男! あいつにとってのあんたって都合のいい女、どうでもいい女、聞き分けのいい女の3つじゃん。 ある意味いい女三カ条クリアだし」


 ……挙げ句に、今のあたしにとってキツイ言葉を放ってくる。


 「うわぁーん! 優太っ。 和実があたしのことを苛めてくる~!」


 有無を言わさせない態度の和美から逃げるように、あたしはお決まりのパターンで優太の後ろに隠れた。


 優太もこれまたお決まりのパターンであたしを庇ってくれる。


 「まぁ、落ち着けよ。 和美もあんま梨花を責めるなって」

 「さすが優太!超優しいっ!」


 あたしは優太の背後から和美に向かってニヤっと笑ってやった。

 だって、和美が意地悪を言うんだもん。