「分かんないよ。本音は〜」
 「あり得ないって。優太に限って」
 「またまた〜。満更でもないくせに」


 パタパタと団扇で顔を扇ぎながら和美はあたしの顔を覗いてニンマリと笑う。

 否定を否定したいらしい。確かに満更でもないのは否定しないけどね?


 「お待たせ」

 そうやって話しているうちに待ち合わせ場所に優太がやって来た。


 Tシャツに半パン、それにキャップ帽を被って、いかにもスポーツ少年らしい服装だ。

 メチャクチャ爽やか。やーんっ。優太ってば今日もカッコいい〜!なんてデレデレしているあたしは相当優太が好きになってる。


 聞けば部活の練習が終わった後、ダッシュで準備をして来てくれたらしい。走ってきたのか暑そうにシャツの襟ぐりをパタパタさせてる。

 目が合うなりマジマジと見つめられて、ちょっとだけ動揺。

 何だか無性に照れる。


 「どうよ?あんたの彼女の浴衣姿。可愛いでしょ」
 「うん」
 「うんじゃない〜!ちゃんと言えし」
 「だから〜!その…、可愛いし……、似合ってると思う」


 和美に背中を叩かれた優太は小さな声で感想を言った。かと思えば恥ずかしそうにキャップを深く被って俯いた。


 え〜!?何?その恥ずかしそうな顔。可愛いすぎてやばい。ツボに入りまくりなんですけど……!と心の中でひっそりと燥ぐ。


 やっぱり浴衣を着てきて正解だった。かなり嬉しい。