「いいじゃん!その浴衣、和美に似合ってるよ」

 「梨花こそ〜!メチャクチャ可愛いじゃん」


 顔を合わせて早々ベタ褒めトークをしながら笑う、あたし達。


 そう。あたしも和美と同じく浴衣を着てきた。

 紺色の涼しげな朝顔の浴衣だ。


 本当は動きやすい服装で行こうかと迷ったんだけど、やっぱり好きな人に会うなら可愛いと思われたいじゃない?

 
 今日を逃すと次はいつ一緒に遊べるか分からないし。

 あの日の梨花は可愛いかったって思い出を優太の記憶に残したい……!なんて心の中で密かに企んでる。



 「これはもう、お持ち帰り確定だね」

 「はい?」

 「ほら、祭りが終わった後に家に連れ込んで〜、とかあるあるじゃん」

 「まさか〜。優太に限ってそれはないでしょ」


 和美はからかうようにほくそ笑んできたけど、あたしは苦笑い。


 ないない。優太はそこら辺かなり紳士的だもん。

 むしろ、真面目すぎるくらい。

 あれから関係は恋人になったわけだけど、優太の態度は友達のときと変わらないまま。


 むしろ、友達のときより健全。

 恋人らしいことをするのはまだ照れくさいだとか言って、この間2人で帰ったときも手を繋ごうとしたら「ごめん。もうちょい待ってー」と照れ顔全開で言われてしまった。


 ある意味あたしよりもピュア。

 近付く度にぎこちない態度で接してきて、ちょっと可愛く感じてるくらいなんだから。