啓介とはまた違った背中。鍛えているんだろうなー。野球部だし。

 触ってみたい……。なんて思った頃には既に優太の背中に触れてしまっていた。


 「ん?何?」

 振り返った優太は不思議そうにあたしを見つめてくる。


 「何でもない」

 そんな優太にあたしは首を横に振ってニッコリ笑顔を向けた。


 触れた指先がほんのり熱い。

 優太の背中は、やっぱりかなり引き締まってた。背筋フェチなあたしにとっては堪んない。

 そんなこと優太には絶対に言えないけど。


 「何だよ。変なやつ」

 無邪気に笑う優太に癒される。

 やばい。自然と顔がニヤケちゃうよ。何だか物凄く甘えたい。そんな気分になっちゃったあたし。


 「ねぇ、優太。 おんぶして?」

 優太にそうお願いしてみた。おんぶなんて子供みたいだけど別にいい。だって甘えたいんだもん。


 「は? おんぶ? しょうがねーな」

 優太は呆れたように溜め息を吐きながらも、しゃがんでくれた。

 優しすぎでしょ。優太と付き合う女の子って絶対に幸せになれると思う。

 あり得ないくらい溺愛してくれそうだし、浮気とかしなさそう。


 そう思いながらあたしは優太の背中に身体を預けた。

 ギュッと首に腕を絡ませ、バレないようにそっと背中に指を滑らせる。

 堪んないね。うん。


 「あ、部活に行かなくて大丈夫?」

 軽々とあたしを持ち上げた優太に思い出して尋ねた。

 勢い余って優太に泣き付いちゃったけど、よくよく考えてみれば部活に行く途中だったはず。

 監督……、怖いって噂だし。あたしの所為で優太が怒られたら悪いもん。