「いらっしゃいませ」

レジの前で座ってそう言ったのは、店主らしき長い白ひげを生やしたおじいさんだった。私はペコリと会釈した後、お目当ての本を探す。本屋にはそこそこ人がいて、立ち読みをしたり、私のように本を探していた。

(あった!)

お目当てのシャロン・ベイカーの新作小説を見つけた。しかも最後の一冊!やっぱりシャロンは人気小説家なんだと改めて実感する。

シャロン・ベイカーの小説の他にも気になる本を見つけたので、財布の中身を確認しながら選んでいく。私たちの町にも本屋はあるけど、やっぱり王都の本屋は品揃えが違うなぁ……。

選んだ本たちのお会計を済ませ、本屋を出る。思ったより長いこと本屋にいたみたいだ。広場でもうユリナは待ってるのかな。

本屋を出て歩き出した時だった。突然大きな音がして、地面が大きく揺れた。あまりの衝撃に倒れてしまう。

「な、何?」

あちこちで悲鳴が上がる。みんなパニックになってあちこちに逃げ出した。喧騒の中、途切れ途切れに何が起こったのか聞こえてくる。