「リーチェル」

誰かが自分を呼んでいるような気がする。その声はとても優しくて、でも誰の声なのか全くわからない。

「リーチェル」

頭の中に深い霧が立ち込める。真っ白な霧の中でその人は名前を呼んでいる。私はその人の姿を必死に見ようとするけれど、霧のせいで全く見えない。

「リーチェル」

誰?誰なの?一体あなたは誰?私、あなたなんて知らないの!そんなことを言いながら私は目の前の人に近付こうとする。すると一瞬で霧も謎の人物も消えて、私の周りは暗闇に包まれてしまう。

何も聞こえない。何も見えない。怖い。とても怖い。暗いのも、一人ぼっちなのも、嫌だ!!

「リーチェル!!」

大きな声と強く肩が揺さぶられたことで、私ーーーリーチェル・テイラーは目を覚ます。自然と肩が大きく動き、口で息をしていた。そんな私をユリナ・モーガンの黄色の目が心配そうに見つめている。

「随分うなされていたわよ」

「いつの間にか寝ちゃってたみたい」