好きな人は、自動的に彼氏になってくれると信じていた中学生時代。

クラスの女の子数名は、どこかでガラスの靴を見つけたり、はたまたりんごで眠りに落ちたのか、彼氏がいる子もいた。

あたしにガラスの靴は無いから、別の方法を探すしか無かった。

同級生が恋にまつわる様々なアレコレを、複数の異性で経験していた思春期。あたしは恋という言葉の全てを、たった一人の王子さまに捧げていた。

あたしが好きと言えば、彼はいつも「ありがとう」と言う。

一緒にいるだけじゃやだ。

受け取ってくれるだけじゃやだ。

現状に満足できなくなって、それ以上を求めるようになったのも、その頃だった。