好きな人は勝手に好きになってくれると思い込んでいた小学生の頃。

愛読書には、王子さまに好かれる方法は書かれていなかった。

だからあたしは努力した。

女の子はみんな笑顔の魔法を持って生まれている。

いつも笑顔でいることを心がけた。

用もないのにお家へ行った。
遠回りして下校した。

バレンタインにはチョコレートをあげた。

会う度に「好き」をプレゼントした。

九歳年上で、あたしよりも先に、あたしと同じ高校の制服を着ていた彼は毎回「ありがとう」と言って受け取ってくれた。