天使「勝手にするずら。んじゃ渡し場まで参ろうぜよ」
悪魔「まあだ四国弁を、夏目雅子をやってやがる。バカヤロ。おめえは渡し場でもどこへでも帰(けえ)ればいいじゃねえかよ。俺は変幻自在のすっ飛び悪魔だ。瞬間移動で病院でもどこへでも行ってみせらあ。じゃあな」
天使「ま、待てえ、悪魔。おめえまだ何か考えてっぺ?(心中を読むように頭を悪魔に傾けて)あ、わかった。野郎、また誰かにとっ憑いて飲み食いする気だなや。何を喰らうだ?……(上同様の仕草をして)むむ、焼き肉とビールだなや。へば(東北弁・それなら)オラもまだ付き合うでよ。な?さ、行こ、行こ」
悪魔「バカ云ってんじゃねえ。これ以上付き纏われてたまるかよ。アバよ」

悪魔、通りに出てそのまま舞台奥に行こうとする。天使がその袖を引く。

天使「ちょ、ちょと待て……」
悪魔「るせえ。野郎、こうなったらもう魔力だ。魔力、消えやがれ!陣!(手印を結ぶ)」
天使「(念力に押されよろめく)むむ……負けてたまっか。こっちゃも天力(てんりき)だ。天力、ご相伴(しょうばん)!臨!(手印を結ぶ)」
悪魔「(引きつけられるようによろめく)苦っ……ちきしょう、陣!陣!」
天使「くわっ……臨!臨!臨!」
悪魔「陣!陣!陣!陣!」
天使「臨!臨!臨!臨!臨!臨!」

天使と悪魔、互いに手印を切りながら舞台奥へと消えて行く。