鳥が飛んでいる。空高く豆粒のよう。広げた翼で辛うじて鳥とわかる。何という鳥なのだろう、と思っているうちに、上からジョニーの声がしてきた。

「ジャック、ジャック聞こえるか。俺がわかるか。」

首を回そうとすると痛むので、目だけを動かす。

「ジョニー…」かすれる声に我ながら驚く。

「動くなよ、今手当する」

ジョニーが体のあちこちを調べている気配がある。

俺は続けて空を見た。

ああ、あの鳥はもういない。行ってしまった。

さっきまで動かせていた手が動かないことに気付いた。息が苦しい。目の端が霞んできた。

「大丈夫だから。もう少し頑張れ、頑張ってくれ」叫ぶような祈るような声が聞こえる。

その声を聞きながら、俺もあの空を飛べる気がしていた。