冴木さんは、同じ高専のOBだが、今の同級生に冴木さんみたいなタイプは居ない。
 厚かましくも、今日も私は、作業中の冴木さんのそばに居座っている。
「ねえ。冴木さんって学生時代はモテたでしょ?」
「どうしたの?急に。別にモテなかったよ」
「絶対に嘘だぁ!」
「本当だって。あずなちゃん、いつもそういう格好で通学してるの?」
 祖母が、着物を好みつつも、趣味で洋裁もするので、若い頃の着物を洋服にリメイクしてくれて、それに革ジャンやジーンズを組み合わせている。
 髪型はというと、バイクに乗るようになってからは刈り上げショートだ。
「変かな?」
「まさか。すごくお洒落だよね。可愛いし、それこそモテるだろうなと思ったんだよ」
 何故か、そう言われたことが嬉しい。
「全然そんなことないけど、もし私が同級生だったら、冴木さんは興味持ってくれたのかな」