「どうしたの?って、それはこっちの台詞だよ。急に姿を見せなくなったから、心配になったんだ」
 誰かに気を遣えば遣うほど、結局はあちこちに心配かけてしまっているなんて、私は莫迦なのだろうか。
「ごめんなさい⋯⋯仕事の邪魔したら悪いかと思ったの」
「それなら、前にも言ったじゃない。邪魔じゃないし、あずなちゃんが来なくなったらきっと淋しくなるって。やっぱり、淋しくなったよ」
 私と会えなくなって淋しいと言ってくれる人がこの世に居るなんて、とても不思議で、こんなにも暖かい。
「だから、遠慮なんかしないで、いつでも来てよ。口実も要らないし」
 私が答える前に、
「冴木さんのお言葉に甘えたら?」
 後ろから、祖母の声がした。
 言葉を探している間にも、
「もし本当にご迷惑ではなければ、娘をどうぞよろしくお願いします」
 祖母は、深々と頭を下げ、冴木さんは慌てたが、祖母より更に深く頭を下げた。