こんなに泣いていても、始業式の心配をする真面目な紅羽に笑いが溢れる。

 私だったらサボるなぁ。紅羽にはもう少し、自分に優しくってことを覚えてほしいけど。
紅羽に少し寒いから、という理由で羽織ってきた上着を着せ、前に立ってその顔を隠した。



「いいでしょ、少しくらいサボっても。紅羽はいっつも真面目だし、息抜きくらいしないとおかしくなるよ?
それに、どっちみちその顔で始業式行ける?全校生徒が集まる場所に」


「む、無理‥」


「でしょ?ほら、行くよ、着いてきて」


 私は紅羽にそう言うと、少し強引に紅羽の手を引っ張って空き教室に向かった。