「桜ちゃん、いらっしゃい」
何もなかったように、楓さんが私に挨拶をする。
「⋯こんにちは」
再来週の火曜日、結局来てしまった。
いつも通り、楓さんの立つキッチンから1番近いカウンター席に座る。
楓さん、なんも変わってないなぁ。
そりゃそっか、たかが2週間で変わることの方が少ないか。
でもね、楓さん。
私は変わったよ。
「今日もいつもの?」
「いや、今日はコーヒーでお願いします」
「めずらしいね、苦いの嫌いじゃなかったっけ」
「好きになりました」
苦いのが好きになることなんてないけど、今日はすごく苦いのが飲みたい気分だった。
そっか、と楓さんは不思議そうに私を見つめて呟いた。
今日も変わらない店内、常連客の顔ぶれ、そして楓さん。
私だけが変わってしまったようなような気がする。
ここだけ時が止まってるのかと思ってしまうくらいには。
「コーヒーです」
いつもと違ってカップの中は黒い。
柔らかいブラウンを恋しく思いながら、コーヒーを1口。
「どう?」
「⋯すこし苦いです」
「ほらやっぱり」
私が苦そうにしている様子を見て楓さんがふっと髪をなびかせて笑う。
何もなかったように、楓さんが私に挨拶をする。
「⋯こんにちは」
再来週の火曜日、結局来てしまった。
いつも通り、楓さんの立つキッチンから1番近いカウンター席に座る。
楓さん、なんも変わってないなぁ。
そりゃそっか、たかが2週間で変わることの方が少ないか。
でもね、楓さん。
私は変わったよ。
「今日もいつもの?」
「いや、今日はコーヒーでお願いします」
「めずらしいね、苦いの嫌いじゃなかったっけ」
「好きになりました」
苦いのが好きになることなんてないけど、今日はすごく苦いのが飲みたい気分だった。
そっか、と楓さんは不思議そうに私を見つめて呟いた。
今日も変わらない店内、常連客の顔ぶれ、そして楓さん。
私だけが変わってしまったようなような気がする。
ここだけ時が止まってるのかと思ってしまうくらいには。
「コーヒーです」
いつもと違ってカップの中は黒い。
柔らかいブラウンを恋しく思いながら、コーヒーを1口。
「どう?」
「⋯すこし苦いです」
「ほらやっぱり」
私が苦そうにしている様子を見て楓さんがふっと髪をなびかせて笑う。