「あれっ⋯」


頬に、何かがつたう感触。



なんだろうと右手で自分の頬を触ってみるとそれは紛れもなく涙だった。



おかしいな、私こんなことで泣いちゃうなんていつからこんなに弱くなったんだろう。



1人で歩く暗い裏道ほど寂しいものはない。



「俺も好きだよ」



って言って欲しかった。



今更こんな事言うのはずるいと思うけど欲を言えば、楓さんとそういう関係になりたかった。



後になってこんなこと言うなんて私ってほんとずるい。



これから、楓さんにどんな顔して会えばいい?



またあそこにいったら私どんな気持ちになるの?



きっと楓さんにはもっといい人がいるし、最初から私たちは店員さんお客さんだけの関係だった。




それに気づかず、「推し」なんて言葉使って、それがいつの間にか「恋」になってた。



全く、バカバカしい。



来週は、顔を合わせなくていいってことが少し楽にすら思えてきた。



ただ、楓さんにとってはあんなの告白にすらならないのかもしれない。



じゃあ気まずくならないかな。



まぁ楓さんは気まずくなくても私が気まずく感じてしまうのは間違いない。