「おう、いい心意気じゃん」


「⋯⋯でも、仕事辞めたら、家賃払えないし、生活できなくなる。かといって、あんなに啖呵切ってきたのに、これまで通り働くのは、無理。ふつうに、つらいし、戻りたくない。でも、収入がないと⋯⋯」


「あーなるほど、それで迷い猫みたいな顔してんのね」


よしよし、と頭を撫でられる。

勝手に受け入れられたような気がしてしまって、心の内がどんどん出てくる。


「⋯⋯どうしたらいいかわからない。貯金もなくはないけど、家賃払うだけで大変だし、絶対すぐ尽きる。でも、今の職場に戻るのは、いやだ。あんなところ、もう二度と行きたくない。でも、働かないと、生きていけない。⋯⋯どうしよう、もう、捨てたい」


───「じゃあ、おれがもらっていい?」


思わず顔を上げる。

綺麗な目がじっと私を見つめている。


「捨てる前に、いったんおれに、預けてよ」


「⋯⋯は、?」