「おかえりー」


「⋯⋯うん」


「ちゃんとおれので払った?」


「うん」


「よし、いい子」


「⋯⋯」


手が伸びてきたのを見て、咄嗟に逃げる。


「えーなんで逃げんだよー」


「不可抗力」


そのままずんずんとエレベーターに向かう。

必死で早歩きしてるのに、脚が長いコーダイは平気で着いてくる。

⋯⋯なんかむかつく。


家に帰り、順番にお風呂に入る。

買ってきた下着と、初めてのライブツアーで販売したというトレーナーをパジャマ代わりに借りた。

洗濯機を回している間にお風呂掃除と寝る準備を終わらせる。


「⋯⋯コーダイは、明日、仕事?」


「一応オフ。今日みたいにスタジオは行こーかな」


「⋯⋯ふうん」


「明日の昼間、茜の家行こ。いろいろ荷物取ってきなよ」


「え、いいよ、ひとりで行く」


「それはダメ」


「なんで」


「危ない」


「コーダイと一緒に行くほうが危ないよ」


芸能人だし。