「⋯⋯毎日残業、帰るのは終電、朝はふつうに9時出社、昼休憩もない。主食はカロリーバーと水」


「⋯⋯まじか」


「まともな社員なんていない。仕事を教えられたこともほぼないのに、間違ってたら人間性まで否定される。最初からおかしいのはわかってたけど、逃げる勇気も、辞める勇気もなかった」


「⋯⋯」


「だけど今日は、反射的に言い返してた。わかんないけど、辞めるなら今日だ、って、神様からのお告げがあったのかも」


「⋯⋯今日、茜に会えてよかったわ」


「⋯⋯うん、拾ってくれて、ありがと」


コーダイと目が合う。

頭を撫でられて、涙が出そうになった。


「明日からは、やりたいことやって、やりたくないことはやらないで、ゆっくり過ごそうな」


「⋯⋯ん」


「食べよ、麺伸びるわ」


「⋯⋯もう伸びた」



おかしいよね。
あんなに絶望してたのに、今日の出来事は、すべて運命だったんじゃないか、なんて。

人生を捨てても、今日なら、コーダイが拾ってくれるよって、神様が教えてくれたんじゃないか、って。

コーダイが、助けてくれた、って、

───そう、思うんだ。