「柚月」

「…」

「柚月、着いたよ」

肩を優しく揺さぶられる感覚がし
私がゆっくりと目を開けば

「柚月、大丈夫?」

そこには私を優しく見つめる啓君がいて…

「…啓君?」

私がぼーっとしながら啓君を見つめていれば

「…柚月、
無防備な顔であんまり見つめないで」

啓君は顔を赤くして照れていた。

「え…あ、ごめん。
そっか…着いたんだね」

私もそんな啓君を見て
戸惑いながら起き上がった。

…私いつの間にか車の中で寝てたんだ…。

私が車から降りれば
啓君は心配そうな表情をしながら

「…柚月、本当に大丈夫?
組長にも若にも俺がしっかり話するから
柚月は本当に無理しなくて良いよ。
…あんな事があった後だし
屋敷の中に入るとまた思い出すだろ」

そう言ってきた。