ホテルの一室の前に立ち
私がチャイムを鳴らせば

すぐに開かれた目の前の扉。

「待ってたよ」

今日も優しい笑顔で言われ
私が戸惑いながらも黙ってその顔を見ていれば


「…今日も男の匂いはしないね」


首元に顔を近付けられ
彼の吐息が伝わって恥ずかしくなり

「…響さん、もうやめて下さい」

私がそう言ってうつ向けば

「"やめて"って顔じゃないけどね。
…おいで、"花"」

響さんは甘い表情をしながら
私をホテルの部屋の中に引き寄せると

オートロックの扉が閉まる音と共に

いつものように優しく抱き締められた。