✱✱✱✱✱✱✱Side   風雅・美晴  ✱✱✱✱✱✱✱

美晴は自室で漫画雑誌を読んでいた

雑誌を放り投げ、ベッドにダイブした

「あーあ…もう何回目だろ。何度も何度も読み返してたら飽きちゃった。ホント娯楽とかないしつまんない!島…出たいな…」


『みぃ〜はるぅ〜☆』

「きゃあ!ふ、風雅様!いくら神様でも女の子の部屋はノックくらいして下さい!」

慌ててベッドから飛び起きる

『そうなの?オレ、人間のことに疎いからわからなくて』

「なんの用ですか?」

『紅葉から焼き芋。焼きたてが一番美味しいから美晴に持って行けってさ』

「ふーん…いただきます」
風雅から焼き芋を受け取り1口がぶりつき美味しそうに食べる美晴

『ふふっ。食べてる時の顔や仕草は紅葉にそっくり。さすが姉妹だね』

「なっ!?」

顔をムクーとしながら無言で食べ続けた。

『美晴は普段、何してるの?』

「ダラダラしてるだけですけど」

『ガッコウ?に行かなくていいの?』

「行かないもん!風雅様もお父さんたちと同じように学校行けって言うの!!」

美晴は少し興奮し涙目に叫ぶ

『オレは人間のこと、よくわからないから言わないよ』

「…そう……あっ……あの……えっとさ…」

『うん』

何か言いたそうにしている美晴の言葉を待った
やっと口を開くと苦しそうに言葉を発した

「なんで人間に霊力があるんですか?霊力のある人間とない人間がいるの…かなって…思いまして…」

『知らない。…神は全能でもないから知らない事もあるけど、諸説では大昔、アヤカシが女性を攫い、アヤカシの世界に連れて行ったんだけど、アヤカシの中には日本で暮らし子孫を残す事があったらしくてね。その子孫が霊力があり人間と結婚してその子孫がどんどん広がったって説が有力らしいよ。だから人間は霊力があってもアヤカシのように能力はないって話』

「そうなんだ、あたしは霊力がない場所で産まれたかったな…」

膝を抱きながら俯く美晴

「風雅様はあたしの霊力わかる?」

『うん…まぁね』
美晴の霊力ははっきり言って弱い方だ。
現在、島で一番強いのが紅葉で、紅葉を100とするなら楓は70、美晴は10か20あるかないかくらい…と楓とすら差がある。

「あたしね、8歳の誕生日のギリギリまで霊力が現れなかったんです。だから学校でクラスの子達から馬鹿にされ、霊力出てきても弱すぎって馬鹿にされたんだ……霊力は強くならないって…あたしは一生馬鹿にされて生きて行くんだって…思って…うっ…うう…」

嫌な事を思い出したのか泣いてしまう美晴

「風雅様ぁ…この島から出たいよ〜出してください…」

『…神が決めた掟は神の眷属(けんぞく)であるオレでも破れないんだ…ごめんね』

風雅は霊力が苦しむ子もいるのかと胸を痛めた