『ほぁ〜〜いい湯だね〜』
風雅は白神家の露天風呂に入っていた。
長い髪を纏《まと》め、リラックスモードだ。
風雅が初代神子といた時代に作らせたもので、紅葉たち白神家は普段は使わないがお客様や特別な日は使っていた。
これからは風雅専用になるだろう。

『ねぇ、何してんの?一緒に入ろうよ』

「入るか、ボケ!」
脱衣場にいる紅葉に声を掛けたが即お断りされる。

『紅葉はかなり口悪いね〜そこも面白いから好きだけどさ』

「アンタは口が達者ね!女好きなだけあるわ!」

最初こそ、屈辱で怒りを感じていたが紅葉を「変な女」「面白い女」と認識してからは可愛いというか慣れてしまった。今は紅葉とのやりとりは楽しい。

正直、白虎(神獣)の時のアレはやめて欲しいが、もう諦めかけている。



湯浴みを終え、湯から脱衣場のドアを開けると全裸の風雅と鉢合わせてしまい、慌てて逃げる紅葉


『やっぱりオレと入りたかったんじゃない☆恥ずかしがっちゃって〜』

タオルを手に取り、髪や体を拭く

『この手ぬぐいフカフカだ。オレがいた時代との違いを感じるな』

着物に手を伸ばすと何かに気がつくと思わず、愛しそうに微笑む。

『ふふ。こういうところが好きなんだよね』

風雅は気にしていなかったようだが、落ち葉をゴミ袋に入れている時に落ち葉や汚れが着物についてしまったようで、紅葉は一緒に風呂に入りたいから脱衣場にいたのではなく、風雅が服を脱いだタイミングをみて汚れを落としくれていた。


髪を乾かす時に紅葉を呼びつけると「髪切れや!」とブチギレつつも、手伝ってくれた紅葉に風雅は愛しくて仕方がなかった。