陸が中学生になると、実家のパン屋の手伝いをするようになったね。

パン作りを教えてもらったりもしてたけど、接客が多かったかな。

見た目の良さと持ち前の愛嬌で、かわいい男の子が接客してくれるなんて話題になって、女性客が一気に増えたんだっけ。


ちょっぴり嫉妬もしたけれど、大好きな陸が有名になるのはやっぱり嬉しかったよ。


その頃だったかな。
陸が初めての彼女を連れてきた事があったよね。
私まで緊張しちゃったな。

正直複雑な気分だったけれど、一番に私を彼女に紹介してくれてついつい喜んじゃったんだ。

作ったパンをホワイトデーに彼女にあげたりなんかして、初々しかったよね。


高校受験の時は、毎日遅くまで勉強していたね。
一緒に遊びたくて陸の部屋に行ったら、あっち行って!なんて言われちゃって。
その時は悲しかったよ。

でも、陸の頑張る背中を見てたら、わがまま言えないと思ったんだ。

私は何もしてあげられないし、
見守る事しかできないけれど
陸、がんばれー!って、思っていたよ。


無事に高校受験が終わると、ゴメンなマシロと言って陸は私をたっぷり甘やかしてくれたね。

とっても嬉しかった。

私、陸が大好きだよ。