(りく)と出会った日のことは、鮮明に覚えている。

確かあれは陸が小学生の頃。
公園でびしょ濡れになっていた私を見つけて、迷わず家に連れていってくれたね。

ブルブルと震える私を優しく撫でてくれた。




パン屋を営む陸の両親に、私と一緒に暮らすことを承諾してもらうのはとても大変だったことだろう。

けれど、どんなに反対されても陸は諦めなかったね。

パパとママが認めてくれた時には、2人でお庭を駆け回って喜んだんだ。






陸は私にマシロという名前を付けてくれた。

友達の多い陸が、色んな友達に私を見せて名前を募集してくれてさ。

色が白いこと、陸の家がパン屋さんだからという理由でマシロが採用されたんだって、嬉しそうに教えてくれたよね。

それから陸は毎日、私と一緒にお散歩してくれた。

私が寂しいときは一緒に寝てくれて、だから私も陸が寂しいときにはいつも隣に寄り添ったんだ。