昴夜と侑生は親友だけれど、その出会いも仲良くなったきっかけも聞いたことはない。

 ただ、侑生はご両親が離婚してお父さんと二人きりで、しかも医者のお父さんは忙しくてほとんど帰宅せず、いつも家に一人。昴夜も、いつも家に一人。二人を結び付けていたのは、孤独感とそれに対する親近感だったのではないかと思う。

 だから、どうして昴夜なのだろうと何度も自問した。侑生と付き合った後で恋心を自覚してしまった、百歩譲ってそれが許されるとして、なぜ相手がよりによって侑生の親友なのだろう、と。

 それは、私が必死に昴夜を忘れたかった理由のひとつでもあった。