金本さんも風見さんも、岩影に隠れる私を槍で必死につついてくる。


影から表に出て闘えと、闘争心むきだしで。


それはきっと、自分たちに勝ち目があることを知っているからだ。


カラフルな模様の癖に、影に隠れ、静かに息を潜めているような魚は食われて当然だと。


言っとくけど私は闘うために派手にしているわけじゃない。適当でいたいからカラフルを装っているだけ。


適当じゃない私はもっとずっと清楚で可愛らしかった。


小花柄のワンピースを着て、常に笑顔で、誰からも印象よく見られる女。加えて真面目で聞き分けがよくて、大変お利口さんな奥さんでもあった。


好きな人のためならなんでも我慢できると思っていた。


見てみない振りをするのも、妻としての努めの一環なのだと。