「……ねぇ、生徒会って、何であんなに偉そうなの」

「あぁ、それも知らねぇんだ? 寄付金出してる金持ちだってのもあるけど、生徒会長筆頭に、政界、財界に顔の利くヤツの息子だ娘だばっかなんだよ。特に、どっかのタイミングで理事長の子と副理事長の子が、それぞれ生徒会長と副会長なんてやってたからな。先生も口出ししない──というかできない、権力の塊ってわけだ」

「あぁー……さすが私立……」


 花咲学園の生徒会至上主義は知っていたけれど、ようやく繋がった。学校理事の関係者までいるとなれば我が身可愛い教諭陣が生徒会の所業に目を瞑るのも納得はいく。寄付金だって少なくなるとここまで綺麗な校舎は維持できないだろう。

 そんな金の臭いのする学校だけれど、私の家は寄付金なんて一銭たりとも出していないし、今後も出す予定はない。だから生徒会に見下され続けるしかないのだ。

 とはいえ、今後の高校生活も今までと同じと決まったわけではない。本日最大の疑問を口にする。


「じゃあ、御三家は?」

「あぁ、俺と(そう)駿哉(駿哉)のことだよ」


 個人名だけじゃ何も分からない。なんなら御三家って言ってるんだから三人ってことくらい分かる。


「そうじゃなくて……生徒会が権力握ってるから、逆らえば私みたいに虐められるはずなのに。桐椰くんはむしろ生徒会役員にも怖がられてるじゃん」

「まあ」

「御三家っていうのが関係あるんでしょ? 何で?」

「それを今から話してやる」


 桐椰くんがどんどん歩いて行くと、人がサッと避けて道を作っていく。そして、進むにつれて人気(ひとけ)が少なくなっていく。転入して僅か一ヶ月なんて事情は関係なしにあまり通ったことのないところを歩いている。


「どこまで行くの?」

「裏校舎」

「リンチ?」

「ツッコミ、入れていいか?」

「勘弁してください」