――――――――――――――パタンッ



そう言って静かに本をたたむと
今まで黙って聞いていた子供たちが騒ぎ始めた




「ねぇ~!お姉ちゃん!!

その話、この世界で誰でも知ってるよ!」


「そーだよ!もっと違うやつ読んでよ!

白雪姫とか~シンデレラとか~」


どうやら、みんなこの絵本は
読んだことがあったらしい。



それもそうだ

母親や学校の先生に
散々読み聞かされたのであろう。


この話はこの世界の歴史で御伽話ではなく

本当の話なのだから


「あら…、そうなの?

ふふ、じゃあ聞いてみましょうか…………。」



女性は小さく笑うと子供たちに質問してみた。



「この王様はどう思う?」



答えなんて随分前から

決まっている分かりきった質問だ。




「「…」」





「…弱い王様かしら?」




「「優しい王様!!」」





そう、この王様は優しいのだと。