「…お?臼井じゃん、どした?」
たまたま、中学が同じだったその男子生徒…山岡《やまおか》くんはなんともフランクに私に話しかけてくる。
とはいえ「瀬戸くんとお昼を食べる約束をしている」なんて言う勇気はなくて、何も言えずに黙り込んでいると、、
目の前に影が出来て…そっと顔を上がれば、少し不機嫌そうな顔をした瀬戸涼太が立っていた。
「あれ?瀬戸、なんだよ…いつものメンバーとメシ食わねぇの?」
空気を読めない山岡くんが自身のお弁当のオカズを頬張りながら瀬戸くんにそんな質問をぶつけると、、
「……山岡、ウザい。臼井さんに絡むな」
なんて…そんなぶっ飛んだ答えが返ってきたことにより山岡くんは手に持っていたお箸をバラバラと机の上に落とした。
「えっと……それは、なに?瀬戸と臼井の関係って…なに?!!」
「……かの…じょ、……」
「……ごめん、今なんてっ、」
「だからっ……」
少し苛立ったような声をあげた瀬戸くんは、突然こちらに向かって手を伸ばしてきたかと思うと…グッと肩を抱くようにして私の身体を引き寄せる
すっぽりと彼の隣のポジションに収まった私を見て山岡くんがフリーズしたとき、
「……結花と俺、付き合ってるから。馴れ馴れしく呼び捨てで呼ぶの…辞めてくれる?」
なんて爆弾発言をサラッと投下したことにより、瀬戸くんのクラスは一瞬にしてざわついた。しかしそんなことを気にする様子もなく、瀬戸くんは私の腕を引いて教室を後にする。