もしかしたら─……
彼のことを呼び出す文面が書かれたこの手紙。最後に私の名前がフルネームで載っていることを気にして…捨てるという選択をせず、返すという選択肢を選んだのだろうか?
もし本当にそうだとしたら…
もっと彼を好きになってしまう。いや、そうじゃなくても!わざわざこれを私に返しに来てくれた成川くんはやっぱり…
冷たい人なんかじゃない。
とても心の優しい、温かい人だ。
「……成川くんっ!」
出ていこうとした彼をギリギリのところで呼び止めることに成功し、気だるそうに振り返った彼と視線が重なる。
……更なる心拍数の上昇を確認。
「これっ…ありがとう!私の宝物にします!」
立ち上がり、彼に返された手紙を高く掲げて見せると…何を言われたのか分からない、みたいな。
一瞬キョトンとした表情を見せたのを私は見逃さなかった。
(……キョトン顔、かわゆっ!!破壊力やば!)