「ずっと前から、好きでした。良かったら私と付き合ってくだ」

「─…ごめん」

「(……秒殺ですか)」

「悪いけど俺、大切にしたいと思う相手…既に存在するから─…諦めて。恋人を探してるだけなら別のやつ、当たってくれる?」


当たって砕けるどころか、粉々の粉末レベルまでボロボロに散った気がする。

何度もこのシチュエーションを思い描き、寝ずに告白のセリフを考えたのに…最後まで言い終わる前に断られてしまうという、無惨な結末。


その見事な振られように、涙を流すどころか…逆に少し笑えた。


「…急いでるんだよね?もう帰っていいよ、引き止めてごめんね」


あーあ、失恋か。っと項垂れてしまいたい気持ちを押し殺し…平気なフリをして彼に話しかける。

情けない姿を晒す前に成川くんにはこの場を立ち去って欲しかったからだ。


「あぁ…うん。じゃあ」


余計な慰めは不要だ、っと…彼もまた徹底しているのか、あっさり図書室を出ていってしまった。